☆祝☆10回目〜  管理人にはチョウチョやトンボが寄ってくるのですが。私の前世は一体?〜
 もう8月も後半だね。残暑厳しい中、日々黙々と働いてるオクリウサギです。
 2週間ぶりの更新で、少々ご機嫌斜めの桃色うさぎですよ。
 ああ、ごめんね。遅れを取り戻すために、今夜は『ロシア映画特集』を組んだから、大いに話そうよ。今回は地元の美術館で4日間に渡って上映されたからね。そのうち2日も観に行けたし、大収穫だったよ。いっぱい見たから、今回は1作品ずつご紹介で!
 まずは『チェブラーシカ』。くだもの屋さんのオレンジの箱の中で発見されるんだよね。熊のような手を持ってるけど、熊じゃない。顔は猿に見えるけど、アンバランス。動物園で受け取り拒否までされちゃうけれども、この不思議なかわいい生き物が、自らのアイデンティティを探し求めていくんだよ。このチェブラーシカは中身純が粋だから、小さな体に似合わない悩みを抱えながら行動を起こしたり、遠慮がちに自己主張したりする。むしろ、お友達のワニのゲーナのほうが哀愁を漂わせているね。アコーディオンを弾きながら歌を歌うのは、意外と見せ場だったりるんだよね。「一年に一度の誕生日〜」って歌うけれども、人間もそうだよね。誕生日は神聖なもの。だからこそ、大事に大事に祝いたい。 
 確かチェブラーシカ作品は4つほど観たよね。自分はチェブラーシカとゲーナが、いじわるなおばあさんシャパクリャクに列車の中で切符を盗まれて、モスクワまでの200kmを歩いて帰らないといけなくなった話が面白かったなあ。シャパクリャクは悪戯好きな元気なおばあさんだ。運動神経も相当なものだしね。列車の上で仁王立ちですからね。ハリウッド俳優とと互角かも。一方のチェブラーシカはゲーナを気遣って、自分が荷物を持つからゲーナに自分を抱っこをお願いする場面は幼いこどものようだね。ほんとにかわいい生き物だから、ぎゅっとしたくなる。
 オクリはお気に入りになったものね、チェブラーシカ。打って変わって私は『孤独な声』を。ソビエト政権崩壊後に紹介されたといわれる貴重な作品よ。主人公が戦地から無傷で戻ってきて、愛する女性と再会する。でも、国のための責務を負ったのに、何もしていないという苦悩が襲いかかったり、病気にかかったりして、死へのノルマを課せられる。幸せを感じる時間よりも死生観に支配されている。
 二人は結婚はしたものの、主人公は愛することへの不安が高まって、自殺しようとする。一命はとりとめたものの、今度は妻が・・・。最後は二人で希望を見出していくから、後味が悪くなくて、落ち着いて見れた。いつもの生活に戻れたと同時に、もうプラトニックじゃなくなった夫婦生活で、ようやく戦争の呪縛から解き放たれつつあるんじゃないかしら。
 自分で背負ったノルマは身近な人を巻き込み、同じように苦悩させてしまう。温もりのあるものを愛おしみ、育ませることで、素朴な幸せを思い出してほしいように思えたかな。時代はぐるぐると、時にはゆっくりと変化していくわけだから。
 まだまだ紹介しようね。こんどは1960年の『外套』。代書係として働くアカーキーはいわゆるワーキングプア。彼は粗末な外套を着ていることで職場の人たちに馬鹿にされるんだよ。でもようやくボーナスが出て、彼は夢だった外套を新調するんだ。それはもう彼の人生の絶頂の瞬間だ。狭い、寒い何もない部屋で、出来上がったばかりの外套に添い寝するのは恋人同士のようだ。
 そんな幸せは追いはぎにそれを奪われる形で、あっけなく終わってしまうんだ。外套は風雪が吹きすさぶ冬を守ってくれるだけじゃなく、彼を立派な人間に見せてくれる魅力があったんだ。放心状態でフラフラになりながらも、ようやく上官に助けを求めるのだが、非常に事務的な、見下した態度で突き放す。
 そんな上官がある日、馬車に乗ってたら外套の追いはぎに遭う。犯人はアカーキーと判明。しかし彼はすでに亡くなっていた・・・。背筋が凍るストーリーだけど、上流階級への皮肉だよね。格差は優越感や苦境しか生み出さない。人間の思想って、思い込みや決めつけの上で成り立つことが、ままあるから。某国の資本主義とかさ。
 えー、最後に『鏡』。タルコフスキー監督の自伝的作品ですよ。内容はね、はっきり言ってよくわからなかった!まだまだ幼稚なんだなと、反省しかり。。もったいない。そんな私が印象に残った幻想的なシーンをいくつか挙げます。
 風で草がざわめくのが、海の波のようにキレイだった。
 電話のシーンは、受話器をもった主人公の姿はなく、部屋の中をゆーっくりと映す。珍しいシーンだが、重厚感ある。
 天井が水とともに崩れ落ちる。
 タルコフスキー監督自身が詩の朗読をして(声だけの出演)、それにあわせて役者が演技をする。

 ほんとにごめんなさい、私にはちゃんと理解できなくって。あと10年後くらいになってようやく気づくんじゃないかと・・・。決して見て損はしてない!もっと私の人生豊かにしようと俄然やる気になってますから!
 いやいや、自分も最後まで戸惑ってしまったから、お互い様だね。ほかのお客さんたちもウトウトしてたり、狐につままれたような顔してたから。精神年齢がどうのじゃなくて、ロシアの傑作に触れられたし、これから映画を見る角度も変わっていくかもしれない。映画作品には新世界があるんだよ。
 まあ・・・そうだね。いつもテーマが決まってる作品ばかりに触れると、芸術性の高い作品が訳わからなくなるのよね。でもロシア作品を上映してくださった方たちに感謝しましょう!
 ありがたいことだよ、これは。
 今回は更新の遅れを取り戻すべく、いろいろ紹介したねえ。ほんとにあっという間に終わったね〜。
 1秒ずつ時間が流れているからね、次回も滞りなく評論会を!それでは今夜はお開きとしますか。